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~金属の疲労強度特性を研究する班~

  材料が破壊に至るまでの応力の限度や使用回数を把握することで、壊れる前に適切なタイミングで対処することができ、事故を未然に防ぐことができます。そこ で、白木班では様々な疲労試験を行い、鉄やアルミニウムの疲労強度特性の評価を行っています。また、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、疲労試験後の破 面観察を行い、破壊の解析に取り組んでいます。  現在は以下の3つのテーマを中心に研究を実施しています。

■球状黒鉛鋳鉄
 球状黒鉛鋳鉄は鋳造性や振動減衰特性、延性などに優れており、自動車部品や産業機械に数多く採用されています。しかし、球状黒鉛鋳鉄は鋼よりも疲労強度が劣ることから、強度向上のための疲労強度特性の評価を行う必要があります。
 そこで、実際に用いられる鉄道用歯車を想定した回転曲げ疲労試験や過去の研究例が少ないシャルピー衝撃試験等を用いた球状黒鉛鋳鉄の強度評価を行っています。

■めっき
 めっきは表面処理方法の一つであり新材料を開発するのに比べて低コストで様々な機能を付与することができます。
 しかし、めっき処理を施すことで疲労限度が低下することが知られています。その原因を解明するために平面曲げ疲労試験機を用いて研究を行っています。
 
■アルミニウム
 アルミニウムダイカスト合金はリサイクル性に優れており、再生地金が同製品への利用の約9割を占めています。そのため、環境への負荷が少なく注目されている材料の一つです。
 しかし、アルミニウムは不純物や介在物などの混入により機械的強度の信頼性の低下がみられる可能性があります。そこで、平面曲げ疲労試験、疲労き裂進展試験、引張試験などを行い、強度評価を行っています。
球状黒鉛鋳鉄のSEM像


平面曲げ疲労試験の様子


引張試験の様子


~新たな機能性を付与した新素材を開発する班~

 既存の材料に複数の機能を持たせることでその材料の付加価値を高めることができます。
 藤間班では、機能性ガラスや導電性高分子材料に関する基礎研究、また実用化に向けた研究を行っています。また、走査型電子顕微鏡(SEM)・X線光電子 分光(XPS)などの様々な分析機器を用いて材料の構造や組成を評価しています。

■HNLガラス
 当研究室で発見された階層性ナノ多孔層ガラス(通称HNLガラス)はガラス表面部から深さ方向にかけて無数の空孔を有します。さらにHNLガラスは低反射性・親水性・防汚性・防曇性などの多くの機能を持ち、既存のガラス製品への応用が期待されます。
 研究内容として、HNLガラスの形成原理の解明や、実用化に向けた研究がされています。

■PEDOT
 電気を流す高分子、導電性高分子の一種であるPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)は他の導電性高分子の中でも高い電気伝導率を有しています。
 当研究では、このPEDOTの更なる性能向上を目的に様々なアプローチ方法で研究がなされています。
HNLガラスの低反射性


HNL ガラスの親水性


~新たな合金やセラミックスを開発する班~

 セラミックスや合金に至るまで様々な材料を合成し、硬さや抗折力といった機械的特性の評価、電気伝導率や熱伝導率といった機能性の評価を行っています。
 「材料の特徴」は結晶構造や粒子の大きさ・形態といった微細組織に起因します。X線回折実験(XRD)や走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、合成した材料の結晶構造や微細組織の観察を行い、材料の知見を蓄えることで、新しい材料の開発に繋げていきます。  現在は以下の3テーマを中心に研究を実施しています。

■ホウ素系サーメットおよび硬質材料の開発[1][2]
 各種金型や加工用工具材料への応用を見据えて、ホウ素系硬質材料の開発をおこなっています。金属との複合化と通した高密度かつ高強度化や、第一原理計算を主とした計算科学を駆使したホウ化物硬質材料の物質設計を中心に、理論と実験の両面から研究を実施しています。

■セラミックス熱電材料の開発[3]
 ホウ素系材料や酸化物系材料といったセラミックス熱電材料を合成し、熱電特性の評価を行っています。放電プラズマ焼結(SPS)という通電加圧焼結技術を駆使し、従来の電気炉による焼結では作製が難しい材料を合成しています。

■人工鉱石/SYNROCの合成[4]
 酸化物系の鉱石を中心に人工的に鉱石を合成しています。通常の電気炉での焼成では合成し難い鉱石であっても、SPSを用いれば迅速かつ低温で合成することが可能となります。
 様々な合成実験を通して、SPSと電気炉の違いを比較するだけでなく、鉱石の相形成過程や元素の浸出性の評価などを行なっています。

[1] J. Watanabe, R. Koyama, S. Maruyama, “Fabrication and Mechanical Properties of Cr, V Doped Mo2NiB2 Hard Materials Based on Crystallographic Approaches”, J. Jpn. Soc.Powder Metallurgy, 68 (2021) 278-285.
[2] J. Watanabe, T. Ota, S. Maruyama, “Synthesis and crystal structure of Mo2Ni1-xCrxB2 hard materials”, Solid State Sciences, 108 (2020) 106373.
[3] R. Maki, K. Yokoyama, S. Maruyama, Y, Kusano, “Thermoelectric properties of oxygen-deficient spinel-type ZnxFe3-xO4-δ prepared by carbothermal reduction and spark plasma sintering“, Materialia, 26 (2022) 101596.
[4] 丸山 恵史, 野村 知司, 牧 涼介, 中瀬 正彦, 渡邊 真太, 菊永 英寿, 針貝 美樹, 桜木 智史, 浜田 凉, 朝野 英一, 放電プラズマ焼結(SPS)法を用いたシンロック固化体の迅速固化技術の開発, 2023年日本原子力学会 春の年会
ロックウェル硬さ試験の様子


熱電発電試験の様子

アーク熔解の様子

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